こんにちは、ちゃくです!
今回は芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの『コンビニ人間』を紹介したいと思います。
芥川賞受賞作品の中でもかなり読みやすいです!
『コンビニ人間』の作品概要
読みやすさ :★★★★★
主人公の普通度:☆☆☆☆☆
おすすめ :★★★★★
『コンビニ人間』あらすじ
コンビニ店員である主人公の古倉恵子は今日も大きな声で「いらっしゃいませー!」と叫びます。
コンビニ歴18年。彼氏無し。小さい頃から「普通」の感覚が分からず過ごす彼女は「コンビニ店員」でいるときのみ社会に馴染めていることを感じています。
家族からもどうすれば「治る」のか心配されていますが、ある時、新人として入ってきた男と奇妙な関係になります。その男も「普通」の強要に悩まされていました。
彼女はその男との関係をきっかけに一度はコンビニ店員をやめるのですが、やはり自分は「人間」ではなく「コンビニ店員」なのだと再確認し、元の姿に戻るのでした。
『コンビニ人間』きまぐれ考察
『コンビニ店員』を読んだ感想は?
「普通とは何か」を考えさせられましたね。
主人公の古倉恵子は幼少期から、死んだ鳥を見て食べようと思ったり、喧嘩している男の子を止めようとスコップで殴ったり、どこか「普通」とは離れた価値観を持っています。
そもそも「普通」とは一体何なんでしょうか?
就職するのが普通? 結婚するのが普通? 異性を好きになるのが普通?
それらは単に多数派なだけであって、それが絶対的に正しいという訳ではありません。しかし、主人公を取り巻く人物たちは「普通」であることを理論武装に「普通」という圧力をかけてきます。
あなたもそのような経験があるのではないでしょうか?
私はあります。男なのに少食だとか、なぜ休日に出かけないのかなど、挙げたらキリがありません。
普段から「普通とは何か」を考える機会が多い自分にとっては心に深く侵入してくる作品でしたね。
実はこのブログも「普通」に抗うために始めた側面があります。
世の中の「普通」に疑問を抱いてる人はおすすめです。
結局、主人公は「普通」になれたのか?
私は、今後もなれないと思っています。
ここで言う「普通」とは「人間」としての普通です。主人公は最後に「人間」である自分と決別しています。
「いえ、誰に許されなくても、私はコンビニ店員なんです。人間の私には、ひょっとしたら白羽さんがいたほうが都合がよくて、家族や友人も安心して、納得するかもしれない。でもコンビニ店員という動物である私にとっては、あなたは全く必要ないんです」
コンビニ人間/村田沙耶香
主人公にとっての「普通」は「コンビニ店員」であること。つまり、「普通の人間」ではなく「コンビ二人間」なのです。
そんな彼女に彼氏だの結婚だの出産だのできるわけがありません。だってコンビニ店員はコンビニにいるだけなのだから。
でも、それが彼女にとっての「普通」で、誰にも犯すことのできないものなのです。
彼女はこれからも「コンビニ人間」としての一生を過ごしていくでしょう。
まとめ
本作品は、他人からの「普通」の強要に悩む主人公の話でした。
この記事を読んでいるあなたも(私も含め)無意識のうちに自分にとっての「普通」を強要しているかもしれません。
今一度「普通」について考えてみることで、自分や他人を「普通」の圧力から守ることができると思います。
本記事を読んでいただきありがとうございました!
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