こんにちは、ちゃくです!
今回は、群像新人賞を受賞し、芥川賞の候補にもなった村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』を紹介します!
作品概要
読みやすさ:★★★☆☆
独特な世界観:★★★★☆
おすすめ:★★★★☆
どんな内容?
1970年8月8日から8月26日の18日間という短い期間のお話。
鼠という友人、行きつけのバー、指が四本しかない女の子、故郷に帰省した僕が過ごしたひと夏の物語。
この作品は「鼠三部作」と言われる、村上春樹初期三部作の第一作目です。
ちなみに、他は『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』です。
誰におすすめ?
独特な世界観の青春小説を楽しみたい人におすすめです。
独特な世界観とは特に人物同士の掛け合いに現れています。
「ほう……動物は好き?」
風の歌を聴け/村上春樹
「ええ。」
「どんなところが?」
「……笑わないところかな。」
動物を好きな理由で「笑わないところ」って挙げているところが独特ですよね。
このように登場人物が発する言葉には何か不思議な雰囲気を感じます。こういった雰囲気が好きな方は村上春樹作品にどっぷりハマると思います。
印象に残ったところ・気になったところ
『風の歌を聴け』を読んで印象に残ったところ・気になったところを三つ挙げたいと思います。
①鼠って呼んでくれ
僕が鼠と初めて会った、大学に入ったばかりの頃の場面です。
「俺のことは鼠って呼んでくれ。」と彼は言った。
風の歌を聴け/村上春樹
「何故そんな名前がついたんだ?」
この場面、何か不思議に思いませんか?
初対面で自分から鼠って呼んでくれって言われているのに、あたかも鼠という名前は別の誰かから付けられたような僕の返し。不思議ですね。
②鼠がやりたいこと
物語の中で鼠はある決心をします。それは、小説を書くことです。
鼠はおそろしく本を読まない。
風の歌を聴け/村上春樹
本を読まないのに小説を書く、何か矛盾してますね。
それともう一つ。
鼠の小説には優れた点が二つある。
風の歌を聴け/村上春樹
まずセックス・シーンの無いことと、それから一人も人が死なないことだ。
なぜ僕はこれらが優れていると言ったのか。それはハートフィールドのある言葉からわかります(探してみてください)。
③暗示
僕と女の子が一夜を共にするかどうかを話し合っている場面です。
「御免なさい。今日は駄目なの。」
風の歌を聴け/村上春樹
(中略)
「手術したばかりなのよ。」
「子供?」
「そう。」
なぜ手術と聞いてすぐに子供に関することだと思ったのか。これは僕がこの夏を物語にしたことと関係していると思います。
もしかすると、鼠の小説の特徴と何か関係があるのかもしれませんね。
まとめ
群像新人賞を受賞した村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』を紹介しました。
本記事を読んで気になった方はぜひ読んでみてください!