こんにちは、ちゃくです!
「『伊豆の踊子』って名著らしいけど、面白いの?」とか「実際、読んでみたけど面白さがわからなかった」と思っている人はいるのではないのでしょうか。
本記事では、『伊豆の踊子』のあらすじやその面白さについてきまぐれに考察していきたいと思います!
『伊豆の踊子』の作品概要
読みやすさ :★★★☆☆
踊子のかわいさ:★★★★★
おすすめ :★★★★☆
『伊豆の踊子』には、「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」の短編も収録されています。「伊豆の踊子」自体は45ページ程と非常に読みやすい分量となっています!
『伊豆の踊子』あらすじ
孤独に悩む主人公「私」は、その息苦しい憂鬱に耐え切れず伊豆へひとり旅に出ます。道中で旅芸人の一団に出会い、その中の踊子に心を惹かれ、行動を共にすることになります。
旅芸人という職業柄、踊子が男の客に汚されるのではないかと「私」は心配になり、夜も眠れませんでしたが、翌日浴場で子供のようにうれしそうに叫んでいる踊子の姿を見て安心します。また、旅の中で「私」は、旅芸人の一団と交流を深めていきます。旅芸人と軽蔑しない「私」に芸人たちは心を開いていき、「私」も孤独が和らいでいくように感じます。
旅芸人たちとの別れの日、見送りには男しか来ず「私」はまた孤独を感じますが、踊子が昨日の化粧のまま来ていることを知り感情的になってしまいます。「私」は踊子と別れた後、涙を流しますが孤独は感じていませんでした。
『伊豆の踊子』きまぐれ考察
この物語を通して、作者が表現したいことは何か。
これについての考察はネットで調べるとたくさん出てくると思います。作者の意図通りに解釈することももちろん重要ですが、「読書は人生の疑似体験である」と私は考えているため、ここでは私の自由な視点で考察をしていきたいと思います!
『伊豆の踊子』を読んだ感想は?
それはずばり、「「私」がこの旅で心が洗われてよかった」です!
そもそも「私」が旅に出た理由は、本文中で以下のように記述されています。
二十歳の私は自分の性質が孤児根性で歪んでいると厳しい反省を重ね、その息苦しい憂鬱に堪え切れないで伊豆の旅に出て来ているのだった。
伊豆の踊子/川端康成
本文中では直接語られてはいないのですが、おそらく、「私」は両親を早くに亡くしてしまっていると考えられます。そして、「私」の通う高等学校でも周りに馴染めず孤独を感じていると言えます。それらが「孤児根性で歪んでいる」という表現につながったのでしょう(たぶん…)。また、本文の一行目からそれは表現されているように思われます。
雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。
伊豆の踊子/川端康成
この「私を追って来た」というのは、私は「何か」に追われている表現となっています。「何か」とはつまり、「孤児根性」です。そしてそれは「雨」という形で表現されています(意図してこういう表現にしていたらすごいですよね)。
旅芸人、特に踊子と出会うことで「孤児根性」という「雨」の中に「太鼓」という形で孤独が打ち消されていきます。
ととんとんとん、激しい雨の音の遠くに太鼓の響きが微かに生まれた。
伊豆の踊子/川端康成
(中略)
太鼓が止むとたまらなかった。雨の音の底に私は沈みこんでしまった。
「太鼓」が鳴るということは男に汚されてはいないということ、つまり「私」は踊子の心身が私以外の者に向いてほしくないと思っているのです。太鼓が鳴るたびに「私」は孤独でないと実感しているのです(太鼓が私と踊子をつないでいるみたいでいいですよね)。
そして、別れの時には今まで「雨」で表現されていた「孤児根性」が踊子との出会いによってほぐれていき、最後には涙となって「私」から流れていきます(孤児根性がほぐれてよかった)。
頭が澄んだ水になってしまっていて、それがぽろぽろと零れ、その後には何も残らないような甘い快さだった。
伊豆の踊子/川端康成
『伊豆の踊子』を読んで、何を体験した?
それは、「何かに追われたときは違うことをしてみる」です。
『伊豆の踊子』では、「私」は「孤児根性」に追われ、旅に出ました。その結果、踊子と出会い、「孤児根性」がほぐれました。
それと同じように、例えば、「仕事」に追われたとき、「新たな趣味」を見つけることで「仕事」の悩みがほぐれていくかもしれません。
実際に、私は自分の価値を見出せないでいるのですが、本サイトを運営していくことで少しずつ価値を見出そうとしています(個人的な話となってすみません…)。
まとめ
ここで記載した考察内容は、本来『伊豆の踊子』で表現したかったこととは異なるかもしれません。
しかし、本を読むということは『人生の疑似体験』であると私は考えているため、十人十色の解釈が生まれると考えています。
この記事を読んだあなたも『伊豆の踊子』を読み、あなただけの解釈を見つけてもらえればと思います。
ありがとうございました!