みなさん、阪急電車ってご存知ですか?
関西圏の人なら知っている人も多いかもしれませんね。
阪急電車は大阪の梅田を中心に、大阪と神戸・宝塚・京都などを走る私鉄なんです。
この小説は、阪急電車が走る路線の中でも今津線を舞台にした作品になります。
作品概要
・作者:有川 浩
・出版社:幻冬舎
・ページ数:269ページ
・本体価格:590円
あらすじ
物語は宝塚駅からスタートします。
宝塚駅→西宮北口駅まで行き、折り返して宝塚駅に戻ってくる。
そのような構成で物語は進みます。
各駅で章立てされており、路線図もあるので非常に読みやすいです。
また、短編のようで話に繋がりがあるのも魅力の一つです。
では、各駅を見ていきましょう。
宝塚駅
読書好きで図書館に頻繁に通う社会人、征志。
彼には気になっている人がいた。
それはネズミのキャンバス地のバッグを持った女の子だった。
彼女もよく図書館を利用している。
彼はそんな彼女を駅で見かけた。
そして武庫川の中州にあるオブジェをきっかけに二人の距離は縮まり始めた…。
宝塚南口駅
寂れた駅の宝塚南口駅。
そんな駅から場違いな格好をした女性が乗り込んでくる。
彼女は白のドレスを着ていた。それは結婚式の帰りだった。
彼女は花嫁ではなかったが、花嫁になるはずであった。
白のドレスは彼女の復讐だった。
空席を探しているおばあさんと女の子。
その女の子に「花嫁さん」と言われ、彼女は涙を流した。
逆瀬川駅
息子夫婦の子供の面倒を見ていた時子は孫と一緒に電車に乗った。
電車に乗る前、ディズニーキャラの鞄を持った女の子と男の子との恋の始まりを見て微笑んでいた。
空席を探していると、時子は白のドレスを着た女性を見つけた。
そして、彼女と話を始めた。
小林駅
翔子は老婦人に勧められてこの駅で降りた。
つばめの巣を守る温かい貼り紙、そして傘の糞受け。
そんないい町で彼女は着ていた白のドレスを捨てた。
復讐の鎧を脱ぎ捨てた彼女は老婦人のアドバイスについて考えていた。
仁川駅
暴力的な彼氏と付き合っているミサは悩んでいた。
彼女はいつも我慢していた。
そして、彼氏が電車のドアを蹴る今も我慢していた。
その音で泣いてしまう女の子。
その女の子のおばあさんと思われる女性に、
「下らない男ね」と言われたことがミサの心を動かした。
甲東園駅
社会人の彼氏を持つ高校生の女の子、えっちゃん。
えっちゃんは友達と彼氏の話で盛り上がっていた。
その話を聞いていたミサは、えっちゃんの彼氏を自分の彼氏と比べていた。
そして、ミサの気持ちは固まる。
門戸厄神駅
パンクな服装をした圭一は軍オタであることにコンプレックスを感じていた。
そんな彼は、名前にコンプレックスを持っている女の子と出会った。
好奇心旺盛な彼女と圭一は仲良くなっていった…。
西宮北口駅
そして彼らの物語は進んでいく…。
そして、折り返し
続きは、実際に読んでからのお楽しみです。
読んだ感想
ここでは、私の読んだ感想を書いていきます。
十人十色
この物語には様々な登場人物が出てきます。
人によって歩む人生は違います。
同僚に浮気された人、恋人に悩む人、新たな恋が始まる人。
彼らの人生に登場するのは、何も知り合いだけではありません。
たまたま電車に乗り合わせたおばあさん、女子高生。
見知らぬ人との出会いも人生に彩りを与えていきます。
私の人生も見知らぬ人が影響していると思うと、人との出会いを大切にしたいと思いました。
だって誰もが初めは知らない人同士なのだから。
客観的な恋
恋は盲目という言葉はよく聞きます。
それは決して、恋が順調な時だけではないのだと気付きました。
浮気をされて復讐をする時、恋人と上手くいっていない時。
それらの時に、他者からの助言があると、ふと我に返ることがあります。
それは決して知人ではない方がいいのだと思います。
知らない人だからこそ、その助言が頭に残る。
きっと、知らない人の意見=世間の意見だと思うのでしょう。
あなたの周りにも、なぜそんな彼氏・彼女と付き合っているのかと思う人がいるかもしれません。
彼らに世間の意見を教えてあげましょう。
それは小説内の言葉でもいいと思います。
その上で、彼らがどんな判断をするのか、友達であるあなたは彼らの決定を尊重することも大切です。
まとめ
十人十色のドラマを乗せた電車は今日もどこまでも走り続けています。
気になった人はぜひ読んでみてください。